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「SAMPLE BANG!」 SMAP (Victor)



久しぶりにSMAPのアルバムのことを書いてみたくなった。
「SAMPLE BANG!」「HIGH BANG!」「KAIZOKU BANG!」の3枚組アルバム。個人的には「KAIZOKU BANG!」はあまり聴いていない。ちょっと退屈なサンプリングだし。コンサートでのダンスタイム用かな?
あとは、「退屈な日曜日」の中途半端さが気になるぐらい。あらら剣さん(クレイジーケンバンド)やっちゃった。考えすぎなんだって。彼らの楽曲作る時は、“自分の考えるSMAP像”とかで固めないほうがいいんだよ。今回のアルバムなら、例えば小西康晴「クイズの女王」みたいに、自分の好きなように作れば。そこに入り込んで造り手の意図より更に上手く楽しく表現しちゃう人たちなんですから。



て、この2年ぶりのアルバム、今度はうざったいコンセプトなしですわよ。
いやはや、やはりあなどれないこの5人。(ていうかSMAPプロジェクト・スタッフの力か)大衆的にして心地よく、テンション高めで元気にバカ。現在一番カッコ良い、アイドル歌謡の神髄でございます。
音程取れないのがどうした。踊り下手なのがなんだ。どーでもいいでしょ、夏ですもの♪みたいなー!!
なんでだろう、5人が一緒に歌ってる声って、とても心地よい。どー聴いてもハモってない、ハモりを目指しているだけのようなのだが、5人の声をミックスすると、微妙にコーラス的なものが生まれる。聴き心地がいいというか、幼い頃から耳に馴染んだ歌謡曲がすーっと染み込む感じ。
バックの完成度の高さ(知ってるとこでは、山本拓夫氏、山木秀夫氏、佐橋佳幸氏参加)と比べると驚くべき歌唱力の無さなのだが、不思議と邪魔にならず何故か噛み合うアンビリーバボー。結果的にとても楽しいアルバムになってしまうのだよ。
あんだけわたしが「つまらん」「もっと歌の上手い人に歌わせろ」「こりゃ失敗だ」「曲が良すぎて、SMAPさんの手に余る」などと酷評してた「友だちへ」。なのに、「Sweet Summer Surfing Season」と「It's a wonderful world」に挟まれて、とても気持ちのよいそっと包み込むような流れでアルバムを締めくくっている。曲順て大事だなあ。
これぞSMAPマジック。(ナマステ目線。マジックかかんなかったのは「Smac」ぐらいか、既に皆忘れかけてると思うが)
このアルバム、5人全員の録音が終わったのが発売日一週間前だったと誰かが言ってたけど、そんなことが出来るのか?!でも、出来るのかもしれないな、SMAPさんのスタッフなら。けっこうな人数が徹夜してるんだろうな、楽曲の良さも演奏のレベルも下げず、SMAPさんたちの表現力を最大限引き上げるために。
思い返すと、デザインをがらりと変えた「Smap」(エス・マップ)からこっち、S・M・A・Pという4つのアルファベットを使って遊びつつ、可能性を模索しているように見える。
アルバムジャケットに5人の写真は一切出さず、デザイン、コンセプト、曲そのもので勝負している。ビビッドな赤・青・黄だったり、Smapの鏡文字を「裏スマ」と読ませたり、「Smap!」という名のドリンク缶を描いて、あまつさえそのドリンクを発売してしまったり。「MIJ」に至ってはSmapの文字が片隅に小さく描かれているだけ。
今回はそのS・M・A・Pというアルファベットの順番すら替えてしまった。「SAMPLE」の“SAMP”の部分だけを赤色にするというデザイン。わたしはCDショップでこれを初めて見てぶったまげました。その4文字さえどっかにあればSMAPという認識が既に成立してしまうことに。社会的な認知度が広く深いだけでなく、その次の段階、普通に日本語として浸透しつつある証拠なのかもしれないと思う。広辞苑に載る日も近いのか!?

SAMPLE BANG !
価格:¥ 3,800(税込)
発売日:2005-07-27

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「ageha」 w-inds. (FLIGHT MASTER)

すくすくと。
そんな言葉がピッタリなアルバム。
以前は、見かけも声も子供でしかなくて、とりたてて興味はなかったのだけれど、ここにきて自分の中で久しぶりのブレイクの予感がする。世間的には既にアイドルとアーティストの中間点ぐらいの位置で注目を浴びていたから、私のアンテナはいささか遅いのかもしれない。が、このアルバムの完成度の高さで一気に一本背負いぐらいの技を決められたような現状なので、それだけの時間はかかって当然だったという気もする。
最近もしかしたら、「歌とラップ(ダンスも)が、きちんと上手いこと」を忘れかけていたのかもしれない、と思っている。
メロディーに、素直な、それでいて意志力のある声が乗り、クセのないラップとコーラスが絡んで昇華していく。その音は一発録りのようにエモーショナルで、聴く方を飽きさせない。
爽やかさだけでは括れない曲も、情けなさと隣同士のナイーブな曲も、また、かなりビートの強いハードな曲も、すべて咀嚼して取り込んで自分たちのものにできる実力を、彼らは体内に溜めている。加えて、「ageha」や「Gift」のようなスケールが大きくオーケストラの編曲が加えられた強い曲にも負けない声の明るさ・大きさと音程の確かさがある。
それでいて、無理な力みのないナチュラルさもいい。
ただ、唯一気になるのは、幼さ、というか凡庸に聞こえることもある青臭い歌詞だ。次のアルバム時には三人とも二十歳を越えているのだし、「はっ」とするような情景のある歌詞、もしくは矛盾や皮肉を含んだクールな歌詞も聞いてみたい。このままの、爽やかなイメージ重視だけではもったいない気もする。
自信と気弱さ、器用さと頑固さ、人見知りと好奇心、様々な要素が同居して、ただ前だけを見ているかといえばそうでもなく、アゲハチョウのようにカラフルでふわりふわりとした不思議な感触。タフで安らかな時間。
けれども、この蜜月はもしかしたらこの瞬間にしかないのかもしれないし、それが自由というものの正体かもしれない。理想と現実の間を、せいいっぱい飛ぶ。その二つの間でバランスをとるには、けっこうクールさも必要かもしれない。
現在はこのアルバムでひとつの結実を見せているものの、これから先、一見不安定に、ふわりふわりと飛んでいった先にあるのはどんな風景なのか。この三人がどのような軌跡を描いていくのか、ちょっと見届けてみたくなった。
できるだけ遠くへ飛べ。(「キレイだ」より。作詞はスキマスイッチ)



agehaageha
価格:¥ 3,150(税込)
発売日:2005-06-01

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「In Motion 2003~増幅」(2003.11.15,16at鎌倉芸術館小ホール)佐野元春*井上鑑(エムズファクトリー音楽出版)



MOTOのスポークン・ワーズを聴くたびに、ビートの力を再認識する。
開演前、それぞれの楽器は死んでいるように見える。無機質の空間、そこに人間という特異点が入りこむことによって、変化が起きる。温度、密度、重力、空気の振動、さまざまな相互作用…
例えば、人間のいなくなった世界を想像してみる。
人間以外の生命が、あちこちで生を営んでいる。弱肉強食、たんぱく質やミネラル等の循環。完璧な風景。ヒトに発見されることもなく。
それだけでは何故ツマラナイのか。
何故、特異点ともいえる人間が存在しているのか。答えのひとつがここにある。
スイッチが入り、増幅された音が、互いに邪魔することなく絡まりあいながら広がってゆく。プラス、映像の光、動く色彩。
MOTOの声。
それぞれが個性的に際立って鮮やかであり、優しく繊細に、時には鮮烈に溶け合う、優雅な混乱。増幅してゆく。
ヒトは、より良いものを生み出すことができる。
ヒトは、より美しいものを選ぶことができる。
ヒトは、より深く理解することができる。
最近気づいたこと。人身事故で電車がしょっちゅう止まっている。悪いニュースは記憶の中で幾重にも重なっていて、未来にはもっと悪いことが待っている気がする。
無関係ではいられない。人間は、自然をそのままでなく、もっと美しく伝えることができる反面、汚すことも簡単だから。
ありとあらゆる欲望は、心の底からの衝動を麻痺させようとする。「欲しいものは奪え」「疑問にはフタをしろ」先送りされているうちに、それぞれの悲しみや怒りは消えてしまう。残されたゴミは、あちこちに堆積していくというのに。
感情を伝えてほしい。
言葉で遊んでほしい。
カッコつけてほしい。
けれど、決してCOOLを忘れない。
ただひたすら現実から逃げようとしている人、それでもいい。忘れようとしても、押さえつけようとしても、次第に大きくなってゆく鼓動があれば。
表現するということ。
例えば、夜になると月と星の光がいや増すように、説明がいらないくらい当然なこと。
わたしの外と内に存在する言葉たちを、どうしようもなく当たり前な衝動が照らし出す。現在の生と、いつか必ずやってくる死、二者択一でなくむしろその隙間にあるもの。唯一確実であると信じられるものを。
MOTOのスポークン・ワーズに出会えて本当によかった。ありがとう。

In motion 2003 増幅
価格:¥ 3,059(税込)
発売日:2004-04-21

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「a Stage of Wonder」 グレン・グールド(SME)

23歳の若き彼(disc one)と49歳の晩年の彼(disc two)、プラスOuttakes(インタビュー)で構成される「ゴールドベルク変奏曲」3枚組CD。Disc twoはデジタル録音とアナログ録音を同時に行っていたが、それぞれ聴いたグールドがデジタル録音を捨てて「音のいい」アナログの方の音源を選んだものを、そのままノイズまでデジタル化した。
23歳の「ゴールドベルク変奏曲」には、切なさと疾走感があふれている。衝撃と興奮が背骨をかけぬけ、心臓に直接"グッと"きた(まるで元春の曲を初めて聴いた時みたいに)。ビート・ジェネレーションのような独特のスタイル、モダン・ジャズへのこだわり、クラシックの偉人たちへのリスペクト、そしてピアノへの愛情。後のグールドへの評価のすべてがそこにあった。
真剣にピアノと戦い、バッハを想い、自分の中から涌き出てくる音を愛し、クールに酔いしれる。時折、ノイズのような小さな声が混じるのはグールドの鼻歌。若き天才ピアニストの、それは咆哮だ。心からの圧力(ビートと呼んでもいい)が、彼の中で膨れ上がり、はじけると同時に吐き出される小さな叫び。
彼が感じている世界を、わたしたちは一部分しか知ることができない。何度曲を聴いても、演奏している写真を見ても、彼の世界は彼だけの中で完結している。誰も触れられないゆえに、永遠に美しい。火花のように、激しく、熱く輝いていた事実が1枚目に記録されている。どれだけ言葉を尽くしてもこの天才のビートは伝わらないだろう。自分の言葉に限界を感じる。
そして彼自身もまた、23歳のその世界には戻ることができなかった。
10年前ならば、もしかしたら晩年の彼の演奏に価値を見出さなかったかもしれない。1枚目の才気の激しさに比べてそれはあまりにも穏やかに聞こえる。大きくとらえどころのない音楽という世界に自分をぶつけていた天才が、逆に音楽を作り出し抱擁されていく過程に何があったのか知らない。けれど、晩年の彼の演奏には楽しさが溢れている。
鼻歌も独特のアレンジもそのままだが、精神の奥からこぼれる軽やかさがそこにある。彼の晩年の年齢に近づいていくにつれ、ビートや曲調だけではない、慈悲にも似た音楽があるのを時折感じることがある。時の流れが彼の音をたくましく充実させたとするならば、歳を重ねるというのは実に幸せなものだと思う。



バッハ:ゴールドベルク変奏曲-メモリアル・エディション-バッハ:ゴールドベルク変奏曲-メモリアル・エディション-
価格:¥ 3,780(税込)
発売日:2002-11-07

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「ココナツ・バンク」 ココナツ・バンク (オーマガトキ)

このアルバムを聴いたら、心が破れる音がした。
「東京マルディグラ」のピアノで、「航海記」のイントロで、そして「MAD冬景色」のギターで。
まず、楽器がストレートに聞こえてくる。歌詞よりもメロディーよりも先にそれぞれの楽器のビートが突っ込んでくる。軽快なメロディーにワクワクしたかと思えば、ユニークな歌詞がその後を追っかけてきて、ついニヤリとする。でも、奴らが追いついた時にはもうすべてが渾然一体となって響く感じ。
とても嬉しい。
とても楽しい。
久しぶりの銀次の詞、銀次の曲、銀次の歌声。ソロ時代のナイーヴでセンチメンタルな路線とはちょっと違っている。本当の彼は、ナイーヴでもセンチメンタルでもない(どちらかというと前だけ向いたリアリスト)と思う。以前のソロ作品群においては、彼の膨大な知識とプロデュースの眼で、まるで工夫をこらしたパッケージングのように彼自身のアルバムを構築していた。
このアルバムでは、少しだけはみ出した銀次がいる。肉体管理も含めた自己プロデュースによってアルバム全体を引き締めながらも、セッションの広がりを気持ちのままに楽しんでいる。確かな技術を持った仲間たちが、銀次の伸びやかな声を支え、彼はといえばその中心でフトコロ深く、自然な感じで立っている。
力強く、自信に満ち、しかも負けず嫌いな大人がここにもいた。
悪くないかも、今の日本。



ココナツ・バンクココナツ・バンク
価格:¥ 2,000(税込)
発売日:2003-06-25

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