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「桜、ふたたびの加奈子」(2013・日本)

「桜、ふたたびの加奈子」(2013・日本)



http://sakura-kanako.jp/



(ネタバレ注意)



新津きよみの原作が思い切り地味だったので、ドラマならともかく映画?と少し不安になってました。偶然が重なりすぎるとリアリティなくすしね。
結果、ストーリィの改良によって、不安が裏切られた感じで良かった。映画のほうが私は好きです。
母親の子供に対する愛情のドラマという側面と、ミステリーという側面の割合がちょうどいい。
ただ、佐内河内守氏の音楽は単独で完成しているので、ちょっとちぐはぐな気がしたシーンも幾つかありました。
佐内河内氏の音楽はよく考えて使用しないと、映画という器のほうが壊れちゃうんじゃないかとハラハラしたり。
要不要が評価別れそうなラストについては、私はいいと思いました。だって、ちょっと気になったシーンではあったけど、まさかあの伏線がこう繋がるとは思わなかったもの。
構成うまいなー。
主となるストーリーの後ろで伏線が動いていき、気にもとめてなかった小さな小さな伏線で締める。
栗村監督は、人間の矛盾した気持ちや、日常のこだわり(食事とか花鳥風月とか)、死への悼みを大事にしてる人なのかもしれないと思った。



容子(広末)と信樹(稲垣)は、一人娘の加奈子と共に緑多い足利市で暮らしている。
小学校入学式の日、娘は交通事故で命を落とす。母親は娘の死を受け入れられず、失意ののちに自殺未遂を起こす。その後、容子は目に見えない加奈子が戻ってきたと言い、食事を用意するようになる。とまどう信樹。
ある夜、容子は何かに導かれるように正美(福田)という女子高校生と出会う。正美は妊娠していた。
正美の出産した女の子が、加奈子の生まれ変わりだと信じる容子。容子の思いは日ましに強くなり、正美の子を養子にしたいと言い出す。



お葬式の棺桶が運び出されるシーンで始まるが、棺を運ぶ人数が4人と少ない。つまり小さな棺で、参列者に小さな子供もいるので、亡くなったのが幼子だと分かる。
人が亡くなるのはいつも突然で、後悔するのもいつも通り。天災とか事故とか介護の末とか関係なく、いつも突然。
それでも、記憶はいつも分岐点とを行ったり来たり。あの時ああすれば、もっとああしていれば、と後悔してばかり。誰かのせいにできれば楽なのに、気持ちがそれを許さない。
ソファに横になったままの容子、死亡届の字が乱れてなかなか書けない信樹。自分たちの外を流れていく、以前と同じ日常。
自分の心が空になる喪失感を抱えているのに、毎日が同じように流れていくことが、私は一番つらかった。
何故、私以外の人はいつも通りに暮らしていけるのだろう。まるで一枚の薄い膜を隔てたように、他人の存在がふわふわと希薄で、たよりない。
引き裂かれ、取り残される。
桜に慰められるのは、蕾が膨らんで咲いて散る変化の様子が、日常とはかけ離れているからかもしれない。散りゆくことで、また来年の開花を予感させるからかもしれない。



栗村監督のハッキリした映像と、繰り返し挟み込まれる川の流れ、知恵の輪の鈍い輝き、道ばたの花、静かなのに優しく、よくあるものなのに少し息苦しい。
「弱く見える人ほど本当は強い」
そうかもしれない。
広末さんがまさにそういう母親の役を演じていて震えた。日常に良く似た異世界を覗いた者だけが持つ、凄みと怖さ、もう一歩踏み込んだら鬼にもなろうかという美しさ。
対する稲垣の、戸惑いの混じった優しさもまた素晴らしい。妻がオカシなことを口にし始めた時に、見守る決断ができるほど強い男というのはどれだけいるんだろう。
原作では離婚してたけど、そっちのほうがリアルなんだろうなと思った。



生きている(生きのびてしまった)者は、死者にただ謝りたいのかもしれない。一言、「ごめんね、さよなら」と。
きっとそうだ。
咲き誇り、散っていく桜に向けて。
自分もいつかきっと、死者の列に連なるのだと。
そしてまた、日常に帰っていく自分を見守ってほしいと願う。





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マイブログにリンク&引用させてもらいました。
不都合あればお知らせくださいませ。
宜しくーm(._.)m

ジョニーA | URL | 2013/04/20 (Sat) 06:50 [編集]


No title

ジョニーAさん

はじめまして。
こんな辺境ブログを読んでいただいてありがとうございます。
disられてんじゃないかとドキドキしながら見にいきました(笑)。
いろんな大手様から引用されている中に、私のが入っていて恐縮でございます♪

ナマステ | URL | 2013/04/21 (Sun) 12:03 [編集]


 
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