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「ぼっちゃま」渋谷・パルコ劇場(2011年5~6月)

http://www.parco-play.com/web/page/information/bocchama/



開演まで、会場には生ピアノの音が響いている。
佐山さんのピアノは軽やかで、明るくて、これから始まる時間を想像するのが更に楽しくなる。
ロビーにあった色とりどりの華たち(中の一つは私もちょびっと参加)を思い出すと、またウキウキしたりして。
日常という「外」を、お芝居という「内」に切り替える手段として、生演奏はいいかもしれない。徐々に、気持ちがステージに向いていく感じ。
今回は3回、観劇できました。
9列目、8列目、4列目。それぞれ、ステージ向かって左端、やや左側、やや右側と、ほぼベストな位置をキープ。
最前列とか無理。会場の雰囲気をいつも確認しときたいヘタレなので。(なったことないけど)



太平洋戦争後の東京が舞台。
主人公の幸一郎はばあやの千代と共に、父親から受け継いだ一軒家に住んでいる。
全員腹違いの姉、弟、妹がお盆にやってくるが、顔を見せれば揃いも揃って兄への無心ばかり。しかも姉と妹は幸一郎に一言の相談もなく、フィアンセを連れてやってきた。
育ちが良くて理想主義、女好きで短気で楽天的、論理はあくまで自分にだけ都合いい屁理屈で、兄弟たちには親切だがあくまでもマイペース。
そんなぼっちゃまが繰り広げるホームコメディ…でいいのかな。



会場が暗くなり舞台に吾郎さんが現れると、観客全体が息を呑むのを感じる。もちろん私も。
着流し姿で文机前に正座して、万年筆で何かを書いている姿、しかも利き手でなく右手で。左手でも微妙な不器用さがほの見えるのに、右手で!?と思った瞬間負け。
「飛鳥へ~」を思い出して、本気なのですね吾郎さんっっ!とちょっとテンションまた上がるから。
「飛鳥へ~」と違って原作なしだから、どうして右利きの設定にしたかは謎だけど。クラシカルな感じに似合うからかな?



1回目を見た時には髪型微妙にもずくじゃなくなってて、あら、今度はこっちでいくのね、なかなかいい感じ。と思っていたのに東京千秋楽ではしっかりともずくん(額は全開)に戻っており。戦後その髪はないのでは。別にいいんですけど。



以前の「謎の下宿人」の時も思ったけど、裸足が超絶美しいのね、吾郎さんてば。
厚みがしっかりして、土踏まずは深く、血管も筋もピンと張っていて、足指が長い。
縁側や和室によく似合う♪
和服の裾の柔らかな動きと一緒に、その足がスッスッと動くのを見ていると、どうしてこういう人が生きているんだろうと不思議な気持ちになる。



この和服がなあ、胡座かいたり寝ころんだりした時もなかなか脚が見えないんだよっっっ!←
エロ嫌いなぼっちゃまだから、自身がエロスの塊になるわけにはいかないのかしら。
その割に「うっふーん、あっはーん」がどや顔だったりしますけどもwww
最後のほうでチューチューアイスを渡す時の腕のスジとかたまりませんけどもwww



自由自在だなぼっちゃま、てか吾郎さん。



エロ嫌いな割に、やることはきっちりやってるぼっちゃま、女性に手を出しまくり、あちこちでトラブルも起こします。
「一度寝た女は愛してる。それが僕の誠実」
脇が甘すぎるだろそれ(笑)。
こんな男、結婚したら大変だろうし、人間としてどうかとも思うけど、結局ほだされてしまう。
自分の正論と感情に素直というか、なすがままというか、他人から言われることをけっこう気にするくせに、泣いたり愚痴ったり自己正当化したり酔っぱらったり感情的にあたりちらしたり…。
本当にしょうがない男。まさにぼっちゃま。



怒っても迫力ないから怖くないし、うっとうしいほど言いたいことは言うけど、姉弟妹たちを見捨てない。見捨てるなんていう発想は最初からない。
自分の言うことなんて全くきかないし、金だけを目当てにしてしまいには自分を変人呼ばわりする兄弟たちなのにね。
父親の骨董品コレクションなんて次々に売っぱらう。それは「金儲けに使っちゃいけない。艶のない金になっちまう」からだ。
でも、三島由紀夫などの描いた退廃感たっぷりの華族のそれではなく、いい加減に見栄っぱり。ぼっちゃまなりに苦悩しているものの、いつもどこかピントがずれて論理破綻してるし。
自分に甘く、ストレートに正直で、へらず口のくせにどこまでも優しい。
「人は心が一番大事」「僕の道楽(浮気)は心のやりとりを楽しむ大人の遊び」その信念は正しいが、ちょっと解釈が間違ってる気がしないでもない(笑)。



時に周りをバカにし、時に千代さんに甘え、時に憎たらしいほど口達者で、時にとっても可愛らしくて憎めない。
まさにぼっちゃま、まさに稲垣吾郎の真骨頂。



「本当はみんな、僕が好きですよ」とか言ってるし。
なんか悔しい(笑)。



脇役の人たちの存在感もすごかった。
梶原善さんの似合いすぎるステテコとか、ピアニスト役の佐山さんの素人っぷりとか逆にすごい(本物のピアニストの方なので素人なんですけど)、高田聖子さんのドスも冴えまくる!
ぼっちゃまの弟役の俳優さんは特に、どんどん良くなってた。3回観劇して、コメディのプロの皆さんと合ってきて、呼吸をちょっとずらすとか、オーバーな表情を一瞬だけ見せるとか、すごい成長っぷり。こういうのが舞台を観る醍醐味なんだよなあ。
柳家喬太郎師匠は、私が好きな噺家さんの一人。俳優業をされてる喬太郎兄さんは初めて見たけど、すごくいい。
もともと幇間とかおかみさん系のちょっとナヨッとした人物描写が巧いので、元幇間の骨董商役がハマってる。アドリブシーンなんてもう目が離せないぐらい派手。
見事です。



そんな中、うちの吾郎さんはというと…。
「気づいたらいつの間にか中心にいるんだよねー」とは、舞台の吾郎さんのことを評した友人の弁。
今回の舞台でもその才能(?)は発揮されています。
個性の強すぎる脇役たちに対して、ひけをとらないどころか二歩か三歩、涼しい顔をして先を進んでいく感じだ。
ただし、ばあや・千代役の白石加代子さんを除いては。



白石加代子さんという女優のお名前は、怪談の語り部のような印象で知っていた。でも、どんな女優さんかは知らなかった。
最初に「ぼっちゃま」と呼びかける台詞、それだけで度肝を抜かれた。ぐにゃりと会場に響く声。出てきた瞬間、何かそこだけ空気の厚みが変わるような存在感。
こんな声聞いたことがない。
誰?ていうか何者?
パンフレットに載っている稽古風景での彼女は普通の綺麗なおばあさんのようなのに、舞台の上ではなんだか得体がしれない。
感情が伝わってこないというのではなくて、時々表情と感情が比例していない気がして、心の奥がわからない。
基本的には笑顔だし、優しくて気がきいて、とってもいいばあやなんだけど、うっすらとした怖さがある。千代さんはきっと、語りきれない重い記憶をいくつも持っている人なんだろうと思う。
でも推測することなんておそれ多い。そんな感じ。



浮き世離れしたぼっちゃまと、奥底知れないばあやの会話は、そのままコメディになる。
二人のやり取りの場面になると、他の脇役たちが本当の“脇”になる。二人の間に入り込めない空気が漂う。
パンフレットでは、演出の河原雅彦さんがそれを「結界」と呼んでいた。なるほど。
二人の間は、揺るがない信頼と愛が結んでいるように見える。
ぼっちゃまは千代さんのことを全て知ってるわけではないけど、「僕と千代さんは僕と千代さんだ」と無条件に言えるだけの確信がある。
千代さんのほうはといえば、ぼっちゃまに激甘というか、全肯定。しかも認め具合が強いのでうっかり納得しちゃう(笑)。
「嘘は言ってない。ああいう人なの」
「お強いのよ。普段は新しい荷物一つ背負ったら古いの一つ捨てますわよ」
「清濁あわせ呑み、聖俗あわせ持つ。それこそが人間の面白さなのかもしれない」
もう、オールOK。



そんな激甘で優しい千代さんが、激情を露わにします。
たった一カ所。
ぼっちゃまが、自らの不摂生のために病に伏せ、命をあきらめて心肺停止になります。
幽霊となって現れたぼっちゃまは、千代さんを憑代として千代さんの声を使って淡々と想いを語ります。←ここの演出がちょいと面白い。河原まちゃぴこさん天才。
「僕は世の中の役にはたたなかったなあ」「役に立つということは、世の中の動くほうに動かないといけない」「なんだかなあ」
我に返った千代さんは絶叫します。
「優しい気持ちもずるい気持ちも、希望も絶望もなんでも入るほど広いのよ!人の心は!」
「生きるのよ!生きなさい!」



千代さんの大きくて切実な声が、会場の全てを包み込む。温かいというより、ピリッとした空気を感じた。
祖父や祖母の世代にある、凜とした意志。
チリチリと突き刺さる。



いつの間にか、涙が止まらなくなってた。



以前、同じ脚本家の「魔法の万年筆」を観た時は、最後に主人公が生き返るのがどうにも納得できなくて、アンケートに文句を書いた。あまりにも唐突すぎて必然性が感じられず、それまでのいい流れをぶった斬って終わるような気がしたので。
3回も観劇すると、それもまあありかなとは思ったんだけど、やっぱりモヤモヤしたので感想は書いていない。



今回の「ぼっちゃま」では全く違和感なく、主人公が生き返ることで「生き抜く」というメッセージがストレートに伝わってくた。
脚本もいいし演出も際だってるし、何より白石さんと吾郎さんの組み合わせがしっくり噛み合って、こちらに迫ってくる。
「魔法の万年筆」の時に文句言ってごめんなさい。
見事なリベンジでした。



言いたいこと言って、やりたいことやって、時には人に迷惑かけたり怒ったり文句言ったり、ユーモアを忘れるかもしれないけど、恨み続けたり萎縮したり後悔したりしないでいられたらいいなと思う。
自分の鼓動が止まるその日まで、難しいかもしれないけど、あがき続けることが生きること…なのかな?なるべくやってみる。



この舞台で初めて、千秋楽のチケットがとれました。奇跡です。ありがとう、友達。
舞台の出来としては前日の回のほうが良かったんですけど、東京千秋楽はとにかく楽しかった!
声も動きもアドリブも5割増し。ちょっといつもと違うけど笑っちゃえ的なテンションの高さ。
もちろんぼっちゃまはいささかも変わらず通常営業ですけど何か?(笑)



アンコールで一本締めじゃないの初めて観たかも。
「三本締めで…」って言ったの間違いじゃないの?本当にやるの吾郎さん?と思ってたら白石さんが周りの方々に「三本締めって何?どうやるの?」と小さく訊いてて可愛ゆす♪
ですよね、珍しいですよね。



しかもトリプルアンコールで2回の三本締め、だったかな。
ぼっちゃまの顔から稲垣吾郎にあっさり戻って、気持ちよさげに充実した笑顔で会場をさらーっと見渡します。もしや知った顔を探してる?今日はSMAPさん来てませんけどwww
最前列の賑やか女子にちょっと話しかけてみたりして、まあ吾郎ぼっちゃまご機嫌さん♪
緊張が解けて満ち足りた表情を観られる回なんですね、千秋楽って。それだけで感激&こちらも満足。



「吾郎!」「吾郎ちゃーん!」の呼び声にまぎれて「きょん師匠!」と叫びたかったのですが無理でした。でも、ちらちら視線は投げてたんですよ、ぼっちゃま差し置いて(笑)。



秋の吾郎ぼっちゃまは石川啄木に変わります。
http://www.siscompany.com/03produce/34takuboku/index.htm
そちらも今から楽しみ♪



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コメントコメント


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No title

この感想を拝見していて、涙がこぼれ落ちて、しばらく泣いています。読んでから何分も経つのに涙が滲み、止まりません。特に千代さんの「生きるのよ!生きなさい!」のあたりから涙があふれて。こうしてコメント中にも幾重にも沸いてくる。こんなにも感動的な、「ぼっちゃま」感想初めてです。はあぁぁ。いい、すごくいい!!願わくはこの文が世に出ますように。大勢の人々が読まれますように。もちろん吾郎さんにも。白石さんにもキャスト、スタッフの方々に。私の初観劇、初ぼっちゃまは、吾郎さんの美しさと白石さんとのお芝居の感想しか・・・。ナマステさん、惜しみない拍手を送ります。ありがとうございました。何度も拝見してだいじにしますね。そして私も生きる!

余談になりますが今日出先で、知人に初めてナマステさんのお話をして、その存在を褒めていたんです、よろこびこめて。ナマステさんをずっと読み続けたいいちファンとして。秋に啄木吾郎さんでお会いしましょう。いっそうのご活躍と健康そしてお幸せ祈っています。

のあ | URL | 2011/07/03 (Sun) 14:38 [編集]


No title

のあさん

またまた長い感想を読んでいただいて、いつもありがとうございます。
のあさんのコメントを読んで、そんなにすごかったっけ?と自分の感想をもう一度確認してみました。
ちょっと自信持ってもいいかしら?(笑)
でも、それは感想の何倍も、舞台の「ぼっちゃま」が素晴らしかったということの証拠にほかならないと思います。
久しぶりにアクセス解析なんてしてみたら、のあさんのブログから来ていただく人が3分の1を占めてました。
ありがとうございます♪
啄木吾郎さんでお会いできれば嬉しいですね^^
その日までも、その日からも、体力つけて元気でお会いしましょう。

ナマステ | URL | 2011/07/03 (Sun) 16:53 [編集]


 
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