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砂の器(映画・1974年)

松本清張の小説は、完全犯罪を目指す犯人を、刑事がその粘りでしだいに追い詰めていく形式がけっこうある。
逃げている犯人でも、完全に人との繋がりを断つことは非常に難しく、様々な場所に痕跡を残していく。

映画では、五里霧中にも思えた殺人事件の小さな証拠を次の展開に繋げていって、犯人を徐々に追い詰めていく過程がほとんどを占める。
それって勘じゃね?とか、それって偶然じゃね?という箇所もあるけど、原作だとそういう疑問が沸かないというのは、やはり筆力というものなんだろう。
犯人である和賀英良と刑事との対話はまったく無く、地道な聞き込みと証拠探しによって周りから和賀を追い詰めていく過程はとにかく地味で静か。
そして緻密。
交響曲だとしたら、出だしがチェロやオーボエなどの低い音で滑らかに始まるような。

ラスト45分、その交響曲は突然クライマックスを迎える。
和賀の作った「宿命」が、破滅に向けて演奏されるのだ。

ここからの45分は、まさに映画史上に残る名シーンといっても過言ではないだろう。

フル・オーケストラを使ったコンサートの模様
刑事が、集めた状況証拠をもとに説明し、逮捕状をとるシーン
幼い和賀と父親が全国を放浪する回想シーン

その三種類の映像が効果的に、互いに絡み合いながらラストに向かって上昇していく。

素晴らしい。本当に。

本浦千代吉役の加藤嘉が、登場人物の誰にも増して印象に残る。
刑事に問われても、自分の息子を「知らない」と言い張る父親の愛。
音楽の中でしか、自分の父親に会えない息子。

和賀英良こと本浦秀夫は、「宿命」を完成させ観衆に披露したことで、ようやく自分の過去と父親に向き合うことができたのだ。

この映画は間違いなく名作だ。
現代でも遜色ないほどの輝きが、ラスト45分に凝縮されている。

「小説じゃ書けないよ、映画でなけりゃ出来ない、すごい…」(松本清張)


神谷美恵子・資料
http://pliocena.com/ticket/kamiya/kamiya.html






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